【高論卓説】セブン&アイにみる社外取締役の在り方 (2/2ページ)

2016.5.24 05:00

 宮内氏によれば、社外取締役が経営に待ったをかけるべきなのは業績が悪化しているときだ。株主の代理人として経営陣のはたらきを監視する社外取締役は、業績を改善できないトップをすげ替えるような局面でこそ動くべきだというのだ。セブン&アイの営業利益は5期連続で過去最高を更新しており、これには当たらない。

 「企業がイノベーションを起こすためには、社長以外の役員が全員反対してでもやるべき局面がある」と宮内氏は主張する。鈴木会長が「新しいこと」に挑戦する上で必要だとあれば、好業績を続けているといっても井阪社長の交代には理があるというわけだ。それは、鈴木会長率いるセブン&アイの業績が右肩上がりであることで正当化される。

 企業統治の強化は経営資源の最適配分によって会社の成長を促すのが目的だ。

 成長がミッションの経営者はイノベーション実現へできるだけ大きな裁量権がほしいと思うはずだ。一方で企業の成長という共通の目標を持ちつつトップを監視するのが社外取締役の仕事である。セブン&アイの経営波乱は、社外取締役の在り方について、議論を深めるための何よりの材料だ。

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【プロフィル】西村豪太

 にしむら・ごうた 「週刊東洋経済」編集長代理。1992年に東洋経済新報社入社。2004年から05年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。昨年12月に『米中経済戦争 AIIB対TPP』(東洋経済新報社)を上梓。46歳。

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