熊本・阿蘇を訪れる観光客に人気が高い北外輪山の大観峰を先週末に訪ねたが、駐車場には他県ナンバーの車やバイクが目立っていた。売店のスタッフは「休日で、これだけ天気がよいと、地震前ならもっとお客さんが来てくれたんだけど…」と表情は硬かったが、九州自動車道の全線復旧が大きな役割を果たしているのは間違いない。
23日には地震発生後初めて、九州新幹線を利用して、大阪の中学生が修学旅行で鹿児島を訪れた。
大観峰からの眺望は見事だったが、眼下に広がる阿蘇市街にはブルーシートが点在していた。もっとも被害が大きかった益城町では今なお倒壊した家屋がそのまま残る。こうした状況では「九州に旅行するのは不謹慎なのでは」と考える人がいてもしかたがないことだ。だが、「来て楽しんでいただくことが九州のためになる」という福岡市の高島宗一郎市長の言葉は、九州に住む多くの人の気持ちを代弁している。
旅行でもいい、被災地の支援でもいい。厳しい状況だからこそ、九州に来てほしい。そう、道はつながっているのだから。(産経新聞社西部本部副代表 高橋俊一)