地震で被災した「お菓子の香梅」の工場=4月16日、熊本県西原村【拡大】
熊本地震は、熊本県の地場企業にも影響をもたらした。県は製造、宿泊など3業種の被害は建物や設備といった直接的影響だけで8200億円に上ると推計。発生から1カ月半が過ぎ、復旧は進んでいるが、食品関連の企業は仕込みから加工に至るラインが入り組み、再開に時間がかかっている。
名菓「誉の陣太鼓」を製造販売する「お菓子の香梅」(熊本市)は、西原村に構える工場の天井が崩れ、小豆を煮る釜が倒れる被害が出た。手作り和菓子の製造は既に一部再開したが、今もほとんどの商品は製造できず、店舗の棚は寂しい状態が続く。復旧が順調に進めば、陣太鼓の製造再開は7月初旬になる見通し。
納豆や豆腐、こんにゃくを手掛ける熊本市の老舗食品メーカー「マルキン食品」。本震で豆腐を作る阿蘇工場(西原村)の天井が崩落した。重さ数十トンもある機械が動き、配管もずれた。「足を踏み入れる場もなく、がくぜんとした」と坂本秀文工場長(61)。納豆を作る宇土工場(宇土市)は5月下旬から製造を順次再開。阿蘇工場での豆腐の製造再開は6月中旬を目指している。
高森町の山村酒造は、施設の壁が崩れたり、在庫の瓶が割れたりした。橋の崩落など道路網の寸断で、配送には余計な時間がかかる。自慢の日本酒は主に県内向け。宿泊施設や飲食店など取引が多い阿蘇地区は地震後、観光客が減少、客足は今も回復していない。山村弥太郎専務(40)は「打撃は大きく、先が見えないことが何より不安だ」と漏らした。