そこで1つ提案がある。現在のパチンコ機も20代や30代の技術者ばかりに開発させるのではなく、年齢を理由に一線を退いた腕利きの技術者を呼び寄せて「熟年用パチンコ機」を本気で開発してみたらどうだろうか。パチンコ版「スペースカウボーイ」だ。
考えてみれば、開発者の世代交代は「熟年者たちのノウハウ」を置き去りにしてきた可能性もある。そのノウハウを補うために次世代の開発者たちがデジタル技術を駆使した開発競争に邁進(まいしん)しているとすれば、確かにパチンコ機は昔と「別モノ」になる。それは進化と呼べるかもしれないのだが、その「別モノ」に期待通りにファンが付いてきていない現実に、業界はいま直面している。無論、開発環境も異なるし、社会環境や経済情勢が当時と違うといえば終わりなのだが、やってみるだけの価値がある試みではなかろうか。
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【プロフィル】岸本正一
きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。