自分たちは決して一人ではない。皆がつながっていれば再起できるかもしれない。この身も心も傷ついたとき、唯一の絆である会社との絆まで引き裂いたなら、社員も家族も気仙沼に生きる意味を奪うことになる。私が社員なら生きられない、生きるも死ぬも皆一緒だ。この決断に不満があるなら、まずは社長である私を解雇せよ。 阿部社長の命がけの決断に、裸一貫ここまで企業を育て上げた創業者であり、阿部社長の実父である会長を含め、反旗を翻す人は誰もいなかった。
数日後、遠方に居住地を移した社員や、震災で亡くなった社員を除く全員が招集され、阿部社長は「皆さんは家族です、誰一人として解雇しません、一日も早く全員がまた一緒に働けるように頑張りましょう」と話した。
2カ月間ほとんど稼働できず、実質ゼロだった売上高は、1年後には86億円と震災前の6割にまで回復、それが4年後には130億円、社員も560人と、残った社員の大半が阿部長商店に戻った。
熊本地震で被害に遭った多くの企業が、難しい決断を迫られることになる。だがその中で、阿部長商店が進めた取り組みは、企業復活に向けた何かしらの参考になるだろう。
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【会社概要】アタックスグループ
顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。