鴻海精密工業への傘下入りをめぐり、23日に大阪市で開かれたシャープの株主総会。出席した株主は業績悪化や鴻海との交渉を主導した経営陣に怒りをあらわにしつつも、買収による再建には一定の理解を示す声が聞かれた。
高橋興三社長は「経営のスピードが世の中について行けなかった」などと巨額赤字に沈んだことを謝罪したが、質問に立った株主が経営陣を非難すると、会場から拍手が起こる場面もあった。
元社員という株主は、鴻海の買収額が大きく減額されたことに対し「なぜもっと上手に交渉できなかったのか」と批判。経営陣は「最善を尽くした」と弁明した。
一方で「傘下入りはほっとしている」「買収を決めた鴻海の郭台銘会長の勇気ある決断に感謝している」とエールを送る株主もいた。
会場には小雨が降る中、朝早くから多くの株主が詰めかけた。長年シャープ製品のファンという女性は「買収で開発力や雇用が守られるのか気になる」としながらも「無配が続いており、早く経営を立て直して復配をしてほしい」と株主としての本音ものぞかせた。