“創業家の反乱”頻発の背景 経営側に影響力排除の風潮

2016.7.2 07:08

 出光興産の創業家が昭和シェル石油との合併に異議を唱えるなど、創業家が経営陣の重要な決定事項に反対するケースが相次いでいる。社外取締役を増やすなど欧米流の経営手法が広まり、創業家と一定の距離を置く企業が増えたことが対立の背景にある。

 出光の創業家は、6月28日の株主総会で昭和シェルとの合併に反対を表明。定食店チェーンの大戸屋ホールディングス(HD)が23日開いた株主総会では、創業家が会社側の提出した役員人事案に反対した。

 企業経営に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は創業家の“反乱”が相次ぐ背景について「ガバナンス(企業統治)を強化する中で、企業が創業家の影響力を排除する動きが強まっている」と指摘する。

 実際、出光のケースでは合併を通じ、創業家が保有する株式の希薄化に懸念を抱いたとされる。大戸屋HDでは創業者の急逝後、長男が降格したことが対立の引き金を引いた。経営陣の説明不足も重なり、創業家の不満が一気に噴出した。

 大株主の創業家が絡んだ“お家騒動”は直ちに解消されにくい。ただ、騒動が長引くほど、企業価値を損なう恐れがある。(大柳聡庸)

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