
「上海のビルがオープンして、誰でも入れるようになったら、自分もエレベーターを使って乗り心地を確かめたい」と話す加藤覚氏【拡大】
三菱電機稲沢製作所(愛知県稲沢市)でエレベーターを手掛ける開発部制御システム開発課長。約40人のチームをまとめる。
オフィスビルなどのエレベーターは、屋上に置いた大型モーターでワイヤロープを引き上げたり降ろしたりして、人が乗る箱(かご室)を上下させる。
モーターの力が強いとスピードは上がるものの、揺れが大きくなって乗り心地は悪くなる。「速いが、滑らかに箱を動かすにはどうしたらいいか、チームで考え抜いた」
今年中国・上海に完成した高さ632メートル、127階建ての超高層ビル「上海中心大厦」にある、上りのスピードが世界一速いエレベーターも製造した。最高時速約74キロ。地下2階から119階の展望台まで一気に上がると約53秒で着く。
揺れを抑えるために、モーターの動きを細かく変えられる装置を新たに開発。箱が大きく揺れ出す前にスピードを落とせるようにした。目的の階で静かに止まるように、ブレーキ性能も向上させた。
「エレベーターの箱の床にコインを立てて、地下2階から119階まで動かしてもコインは倒れない」。完成までに約5年かかった。
どのエレベーターも、行き先階の床と箱の床の高さのずれを「5ミリ以下にしないといけない」。こうした制御装置の開発に苦労するという。
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【プロフィル】加藤覚
かとう・さとる 岐阜大大学院電気工学専攻修了。1992年三菱電機に入社。以後、エレベーター開発製造に従事。48歳。愛知県出身。