シャープ 鴻海出資遅れ、再建見通し立たず

 シャープの4~6月期連結決算は売上高が3割減となり、最終損益は第1四半期としては6年連続の赤字を計上した。傘下入りする台湾の鴻海精密工業による出資の遅れや、液晶パネルの供給先となる米アップルの業績低迷が誤算となり、経営再建に向けた道筋は見通せていない。

 業績の重荷となっている液晶パネルや太陽光部門の事業改革も急務だ。頼みの綱だったアップルのiPhone(アイフォーン)の販売不振で、液晶パネル部門の売り上げは4割近く減少。アップルに代わる新たな販売先の開拓と生産コストの削減を迫られている。

 太陽光事業も国内の住宅向け市場の需要落ち込みで4割の減収となった。欧州など海外展開を強化し、立て直しを図る方針だが、業績改善のめどは立っていない。

 当初6月末を予定していた鴻海による出資が、独占禁止法に関する中国当局の承認が下りず完了していないことも懸念材料だ。野村勝明副社長は29日の決算会見で「鴻海が中国当局と交渉しており、進み具合は確認できない」と焦りをにじませた。

 SMBC日興証券の桂竜輔シニアアナリストは「手続きの遅れで、身動きができない状態が続いており、先行きに不透明感が出ている」と述べ、経営再建への障害になっていると指摘した。