
三菱自動車の燃費データ不正問題に関する報告書について会見する特別調査委員会の渡辺恵一委員長(左から2人目)=2日午後、東京都港区【拡大】
三菱自動車は2日、燃費データ不正問題を検証した特別調査委員会(委員長・渡辺恵一弁護士)の報告書を公表し、2011年の社内アンケートで開発現場の問題として「品質記録の改竄(かいざん)」など不正を指摘する声が複数あったことを明らかにした。アンケート結果は経営陣にも報告されたが問題を見過ごしていた。
益子修会長兼社長は記者会見で「私を含め歴代の経営陣は現場の生の声にもっと向き合う努力をすべきだった」と述べた。
報告書は、15年型の軽自動車「eKワゴン」の燃費試験に使われた数値が「恣意(しい)的に引き下げたもので、不正な作出」などと認定。原因として法令の軽視に加え、04年のリコール(回収・無償修理)隠し問題後の経費削減で技術開発が停滞したことなどと指摘した。社内アンケートで「評価試験の経過、結果の虚偽報告」などの声が上がったが、担当部長が調査して「問題なし」として対応を取らなかった。調査委は「表面的なやり取りだった」と経営陣の関心の低さを批判した。05年には法令と異なる走行試験を繰り返すことに対し当時の新人社員が適切な方法の採用を提言していたことも明らかになった。