トヨタに再び試練が訪れている。堅調な世界販売から生まれる利潤が、円高にむしばまれているからだ。年初からの急速な円高進行という逆風に、“お家芸”とするコスト削減で、どこまで立ち向かえるか。トヨタの底力が試されている。
「原価改善の徹底で、収益力を高められるよう努力する」
大竹哲也常務役員は4日の会見で、一段のコスト削減に全社一丸で取り組む姿勢を改めて強調した。
トヨタの場合、対ドルで1円円高が進むと、営業利益が年間400億円押し下げられる。平成28年4~6月期の営業利益の増減要因をみても、為替影響が2350億円の減益要因となり、原価改善や営業努力による1750億円の増益要因が打ち消された。29年3月期の試算では、円高だけで1兆1200億円の利益が吹き飛ぶという。
トヨタのグループ販売は欧州、アジアなどを中心に好調が続く。しかし、販売台数増に伴う収益改善効果は、円高でいとも簡単に減殺されてしまう。
円高が制御できない以上、為替変動に対応するためには生産の海外移転も選択肢となる。だが、生産態勢の「見直しには時間がかかる」(大竹氏)のが実情だ。為替変動へ耐性を強める最大の方策は、乾いた雑巾を絞るような、さらなるコスト改善しかない。
トヨタは、将来の成長につながる研究開発費は削らない姿勢を堅持した。部品コストや営業費用の効率化など地道な改善の積み上げで、どこまで為替影響を吸収できるかが、業績改善のカギを握る。(今井裕治)