
トリイの「フラワーパレット」の自由研究用セット【拡大】
繊維用染料販売のトリイ(愛知県西尾市)は、切り花染色剤「フラワーパレット」の自由研究用セットを販売している。花が染まっていく変化を観察できるため、鳥居英子取締役(61)が子供の夏休みの宿題向けに商品化した。2014年の発売直後から人気で、15年8月には、大手通販サイトの実験や科学に関する分野の商品で販売数1位を獲得した。
500ミリリットルのペットボトルに8分目まで入れた水に、染色剤1袋分を混ぜ、染色液をつくる。カーネーションなど白っぽい花の茎を立てた容器に適量を注ぎ、約2時間、花びらの色の変化を観察する。
花の種類や室温によって染まる速さに違いが出る。染まった花の茎を輪切りにすると水を吸い上げる道管も観察できる。
同社は40年ほど前から、地元で栽培が盛んなカーネーション農家向けに花の染色剤を販売。鳥居取締役が数年前に自ら染めてみたところ、花が徐々に変化する様子に感動した。多くの人に体験してもらいたいと考えるとともに、長男が幼い頃に夏休みの自由研究に苦労していた姿も思い出し、一般消費者への販売を決めた。
写真や文章で変化の様子を記録する「観察まとめノート」も付いている。「夏休み終盤になって慌てる子供も多い。1日で完成できるように配慮した」と説明する。購入者からは「(子供に提案して)父親の株が上がった」などと喜びの声が届くという。
セットには赤、桃、黄、青の4色の染色剤が1袋ずつ入っている。茎の先端約3センチを3、4本に縦に切り分けてそれぞれ別の色の染色液に漬けると、複数の色に染めることもできる。
鳥居取締役は「オリジナルの花をつくって、大切な人にプレゼントするのもいい」と提案。「パーティー向けなどに用途を広げ、事業の新たな柱に育て上げたい」と意気込む。