どうすればベンダーは「完成した」と言えるのだろうか-。裁判例などでは「ソフトウエア・アプリ開発の完成とは、仕事が当初の請負契約で予定していた最後の工程まで終えているか否かを基準として判断すべきである」としている。重要なのは、ベンダーとユーザーで、(1)契約当初の段階で、どういう開発内容とする合意があったのか(2)それが、きちんと実装されているか-である。
これらを認定するには、当初の仕様書の記載や議事録、メールのやり取りなどから、どういう内容のシステムを作る合意があったのか、また実際にベンダーが作成したものは、それを満たしているのかを判断することになる。その結果「予定していた最後の工程」を終えていれば、多少の不具合(バグ)があっても、「完成」していると判断されるのが現在の裁判である。
ユーザーは、多少のバグがあることを理由にシステムが完成していないと言うことはできず、不具合については別途、瑕疵(かし)担保責任を追及することになる。
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【プロフィル】中野秀俊
なかの・ひでとし 早大卒。2009年から法律事務所勤務。11年にフロンティア法律事務所移籍。16年4月にグローウィル国際法律事務所を設立し現職、同時に企業経営の課題を解決するみらいチャレンジを設立し代表取締役。大学の時にIT関連で起業した経緯から、IT・ウェブ企業の法律問題に精通している。32歳。埼玉県出身。