野村不動産、マンション建て替えに注力 「プラウドシティ阿佐ヶ谷」来月完成 (2/2ページ)

9月に完成するプラウドシティ阿佐ヶ谷。解体時には築55年を経過していた建物群が最新の設備を備えたマンションへと生まれ変わる=23日、東京都杉並区
9月に完成するプラウドシティ阿佐ヶ谷。解体時には築55年を経過していた建物群が最新の設備を備えたマンションへと生まれ変わる=23日、東京都杉並区【拡大】

 同社の林善史・マンション建替え研究所所長によると、こうしたエリアは「周囲には高度利用されていない建築物も多く、それらと一体となった開発がしやすい」のが特徴だ。このため周辺住民に向けてダイレクトメール(DM)の配布を始めるなど、需要の掘り起こしに注力している。

 老朽化や耐震性などから今後、建て替えを迫られる団地やマンションは全国的に急増する。ただ、事業環境は決して良好ではない。その一つが高齢者をめぐる問題だ。建て替え中は仮住まいを迫られることになり、「これまでのコミュニティーから離れてしまうことに対する不安感が非常に大きくなっている」(長谷工総合研究所)からだ。

 さらに建築コストの上昇で販売価格が高くなり、一般的なサラリーマン世帯が購入に二の足を踏んでいることも、特に郊外物件の管理組合の“心理”を冷やす可能性がある。営業力の強化などによって、こうした阻害要因をいかに克服していけるかが、市場拡大に向けた課題といえる。(伊藤俊祐)