だがこれを甘んじて受け入れているだけでは、これまで通りのスケールで雇用や納税など産業としての役割や、社会的責任を果たすことができなくなる。また「原点回帰」が掲げられるなか、現実的視点でホール経営を捉えれば、いまのコストを維持しながら、数十年前と同じ大衆娯楽に戻ることは限りなく不可能に近い。要は「時代に適した原点回帰」を遂げる必要があるということだ。
それは、業界の歴史を踏まえつつ、われわれが新たに築かなければならない価値観であり、産業像に他ならない。具体的にどのようなものなのか、業界に関わるすべての人々がそれぞれの立場で模索し、「そもそも論」から「これから論」へと議論を昇華させる必要がある。
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【プロフィル】濱口理佳
はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。