これまでMRJの開発計画は大幅に遅れており、初納入の時期を4度も延期している。飛行試験の多くを天候が良く、滑走路の数が多いワシントン州の空港で行い、遅れを取り戻す計画だった。だが、2日連続の引き返しと台風の接近もあって、少なくとも8月中の米国での飛行試験は厳しくなった。
三菱航空機の広報担当者は「整備に万全を期して米国へ飛行したい」と話している。
今回の異常はエンジンなど主要部位ではなく、空調システムのため、深刻な事態に陥る可能性は低いとみられるが、今後の飛行試験をトラブルなくできるのか、不安を残す結果となった。
これ以上の納期遅れは今後の受注活動にも影響を与えるとみられ、半世紀ぶりの国産旅客機開発の難しさを改めて浮き彫りにした。
航空評論家(元日本航空機長)の小林宏之氏の話 空調システムの不具合が他の機器類に影響を及ぼすことはまずない。ただ、空調のトラブルは特に国際線など長距離のフライトの場合、出発空港に戻るといったリスクがある。