
新日鉄住金君津製鉄所の第4高炉。中国発の市況攪乱(かくらん)要因が相次いで鉄鋼業界を直撃している=千葉県君津市【拡大】
能力削減も足踏み
一方、中国の過剰生産能力問題をめぐっては、国有大手の宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が9月22日に経営統合を発表。問題解決を図る場として国際フォーラムも創設され、解決に向けた機運は高まりつつある。
ただ、統合について現時点で決まっているのは、宝鋼傘下の宝山鋼鉄が武漢傘下の武漢鋼鉄を吸収することぐらい。人員削減などの具体論に踏み込むのはこれからだ。国際フォーラムについても、中国が早期開催に難色を示しており、早くも前途に暗雲が漂っている。
能力削減の難しさを見透かすかのように、代表的な鉄鋼製品で建材などに使う熱延広幅帯鋼(ホットコイル)の価格は半年ほど1トン=400ドル程度の横ばい状態が続き、上向く気配がない。
石炭価格高騰の背景には、7月に中国で洪水が起きて輸送に支障を来したことや、豪州の炭鉱で生産トラブルが相次いだこともある。このため進藤社長は「一時的要因が落ち着いてくればパニックは収まる」と期待するが、過剰生産問題と合わせ、中国の動向に振り回される局面が今後も続きそうだ。(井田通人)