韓国サムスン、最新機種で発火・発煙トラブル 生産・販売停止で世界の信頼損ねる

 サムスン電子の新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」は、8月の発売から約2カ月で生産・販売の打ち切りに追い込まれた。同社が誇る最先端の技術を投入した製品にもかかわらず、充電中の発火・発煙トラブルが相次ぎ、日本や米国当局も航空機内の使用を制限するなど消費者の信頼を損ねた。企業イメージの悪化と今後の業績への影響は避けられない。

 サムスンは、スマホの世界シェア首位を維持しているが、足元では低価格で高品質な機種を投入する中国メーカーに追い上げられている。ノート7は、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や中国スマホに対抗するため、満を持して投入した最新機種だった。

 ところが、発売直後から発火・発煙のトラブルが続出、早々にリコール(回収・無償修理)に追われた。すでに1兆ウォン(約920億円)前後の損失が出たとの見方もある。今回、生産・販売の打ち切りを余儀なくされたことで、中国メーカーとのシェアの差はさらに縮まる可能性もある。

 韓国企業は、海運大手の韓進海運の経営破綻をはじめ暗い話題が続く。2016年7~9月期連結決算(暫定集計)が半導体やディスプレー部門の好調で増益だったサムスンも、一度傷ついた企業イメージを回復するのは容易ではない。