JR東海は21日、リニア中央新幹線建設工事のうち「南アルプストンネル長野工区」の安全祈願・起工式を、11月1日に長野県大鹿村で開くと発表した。長野工区は大鹿村と静岡市をつなぐ約8.4キロで、工期は約10年を予定している。
南アルプストンネルは全長25キロ。昨年12月には「山梨工区」(約7.7キロ)の工事が始まった。国内のトンネルでは最も深い地表から約1400メートルの場所を掘削する計画で、リニア工事の最難関となる。
長野工区では、トンネル掘削で発生する約300万立方メートルの残土や、ピーク時には1日に1000台以上が走る工事用車両で生活環境が悪化するとして、住民から不安の声が上がっている。
大鹿村は19日に、工事用車両の安全対策や環境保全に取り組むとの確認書をJR東海と締結。21日午前には大鹿村と村議会が工事に同意することを決めた。柳島貞康村長は21日の記者会見で「確認書で住民の不安は軽減された」と述べた。JR東海はこれを受けて工事に踏み切る。
リニアは2027年に東京・品川-名古屋(286キロ)の先行開業を目指す。そのうち86%がトンネルとなる計画だ。