カルビーには年間1万件弱のクレームが寄せられる。電話によるものが75%と圧倒的に多い。電話は、まずお客様相談室が受け、問題点と状況を聞く。それを15分以内に詳細なカルテにまとめる。これを、電話してきた顧客が住む地域の相談室スタッフが確認し、直ちに連絡。そこできちんと説明するか、自宅へ伺うかを判断し、訪問となれば、受電から2時間以内に駆けつけることをルール化している。制限時間を設けたのは、こうした場合に、人が待つことのできる時間の限界を考慮したからだと大内氏は説明する。
「電話対応は最初が肝心で、まず心からお詫びします。そして、お客様の気持ちに寄り添うことが大切です。つまり『この人が本当に訴えたいことは何だろう?』と考えることです。怒っているのか、体への害を心配しているのか……。お客様の真意を知ろうとする姿勢が最初に伝われば、後の対応もスムーズになると考えています」
逐一電話で状況報告不安が信頼に変わる
顧客が不具合を感じた商品は回収されて、工場の品質管理部門に届けられ、入念にチェック。必要があれば、外部検査機関に回すこともある。
その後、工場、地域相談室、本社がクレーム情報を共有しての顧客へのきめ細やかな情報提供がスタートする。具体的には「商品が工場に着きました」「くわしい検査が必要なので、ご回答を差し上げるまでに10日ほどかかります」という経過報告だ。「報告書は、工場の品質管理者が調査結果を書き、地域スタッフが仕上げます。お孫さんとお召し上がりだったお客様には『せっかくの楽しいひとときを台なしにしてしまい申し訳ありません』の一文を加え、少しでもお客様の気持ちに寄り添えるよう、努力しています」。
このような誠意ある対応に顧客も納得して固定ファンになるのだ。