米資本は自由化、グローバリゼーションで実際に勝てるかどうか、不安なのだ。来年1月に発足する新政権は従来型グローバリズムに背を向けると同時に、代案を用意するだろう。その中身は不明だが、多国間協定に代わり、2国間主義が主流になるだろう。
攻勢投資で存在感を
日本はどう対応すべきか。安倍晋三政権はTPPを日本再生の一環として位置づけし、米新政権と議会に批准を求めてきた。トランプ新政権は応じないどころか、日本の円安を牽制(けんせい)し、「円安誘導」のクレームを付けて対日報復をちらつかせかねない。今後約2カ月間の新政権への移行期の間の日米対話が重要になる。
日本企業はどうか。株主重視の米国モデルに追随し、米国を追い越したのだが、株主資本の多くは利益準備金で占められる。設備投資や賃金・雇用に資金を回さずに、利益をため込んでいる。12年末から今年6月末にかけての株主資本(純資産)増加額は114兆円、このうち利益剰余金は90兆円にも上る。
リーディング企業はいいかげん、国内重視の積極投資攻勢に転じてはどうか。米国型をこれ以上、墨守したところで、円安・外需頼みでは行き詰まる。国内投資で雇用改善を実現し、日本型モデルを確立し、米国に対して日本の存在感を高めるときだ。(産経新聞特別記者)