
地域の発酵食品を前に、研究の内容を語る東工大の山田拓司准教授【拡大】
研究にあたっては、現在、室町時代から続く京都の老舗・種麹屋の協力を得て進んでいる。そのほか、ぐるなびが包括協定を結んでいる地方自治体などと連携し、全国から発酵食品および菌を収集する。収集した微生物(菌)のゲノム情報を、遺伝子の塩基配列を高速で読みだせる「次世代シーケンサー」を用いて解読、さらにその情報から菌の特徴を抽出するため、東工大が所有するスーパーコンピューター「TSUBAME」での解析も計画中である。また、東工大の学生や全国21カ所にあるぐるなびの営業所、および加盟飲食店の協力を得て、郷土料理や地域の食文化についてもヒアリングを実施し、風土や食文化と菌との関係性を検証する。
研究代表者である東工大生命理工学院の山田拓司准教授に研究の展望を聞くと、「発酵を支える微生物のデータベースが出来上がると、地域ごとにどんな発酵食品や微生物があるかがわかります。これをもとに観光や新たな特産物をつくっていける可能性があります。その微生物が健康に直接つながってくるとなれば、その地域の食を目的に旅する流れもできます」と観光産業にもつながることを示唆。「現在、酒蔵ツアーを目玉にしている地域もありますが、そこに麹菌ツアーや乳酸菌ツアーが加わるかもしれませんね」と新しいガストロノミーツーリズムの可能性も見いだす。
発酵食品の研究は地域のブランドアップに貢献することで、地域活性にもつながる。2020年に向けて、日本の優れた食文化を世界に発信する機会としても期待してほしい。
◇
■ぐるなび
www.gnavi.co.jp/company