【視点】自滅サムスンを脅かせず 大ヒット商品が消えた電機業界 (1/3ページ)

 スマートフォンで世界トップシェアの韓国サムスン電子が8月に発売した「ギャラクシーノート7」で、バッテリー部分が過熱して発煙、発火するトラブルが次々と起きた。9月2日、謝罪会見をし、一時販売を停止したが、バッテリー不良が原因で本体には問題はない、として9月中旬に販売を再開した。しかしトラブルは続き、小手先の措置では対処できず、10月中旬に生産・販売の打ち切りに追い込まれた。本体側に原因があったためだ。

 結局、ノート7は250万台を販売しただけで、最大1900万台の販売をもくろんでいたサムスンは大きな打撃を受けた。同社発表などによると、9月までに判明した販売中断、回収費用などの損失費用は3兆6000億ウォン、10月以降に見込まれる販売機会損失額が3兆5000億ウォンで、ノート7によりサムスンの受ける損害は合計7兆ウォン超、円換算で6700億円を超える規模へと膨らんだ。このトラブルにより信頼が失われ、今後も機種交換時などの顧客流出は避けられず、損害はさらに拡大する可能性もある。

 影響はシェアに現れている。米IDC調べによると、サムスンの7~9月期出荷台数は4~6月より450万台減って7250万台となった。世界シェアは22.4%から20.0%に後退した。10~12月期は一段と厳しい状況を迎える。

日本の電機メーカーにとっては、神風級の千載一遇のチャンスだが…