もともと小島園長は神父を志したほどやさしい人だったが、入園希望者の中でどこの幼稚園でも入園を認められない重度の障害児も少なからずおり、「差別はおかしい…、正しくない…」と周囲の心配もあったが積極的に受け入れに動いた。
先日、柿の実学園の小島哲史理事長から心温まるエピソードを聞くことができた。その一つは、大阪市に住む、障害児の母親の話だった。ある年の入園相談会の日、憔悴(しょうすい)しきった表情の一人の母親が、重度の障害のあるわが子の入園相談に来たときの話だ。母親が言うには「この園に来るまで29カ所を回ったが、すべて断られ、30カ所目です。どうか入園を許可してください…」と、頭を地べたになすりつけるように嘆願をした。
小島園長はその話にじっと耳を傾け、「お母さん、わかりました。心配いりません…、この幼稚園で引き受けますよ…。大変でしたね…」と手を取りながら、ねぎらいの言葉をかけた。「その瞬間、母親の目から大粒の涙があふれ出ていました…」と話してくれた。
その後、園児と両親は入園を機に大阪から川崎に居を移したそうだ。こうした正しい・心優しい幼稚園が全国に多数誕生すれば、わが国の未来は明るい。
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