東電、再稼働見通せず改革不透明 社員の士気を維持するのも危うい状況

 「東京電力・1F(福島第1原発)問題委員会」が20日にまとめた提言を受け、東電は今後、原発や送配電事業の分社化など抜本的な経営改革に着手する。ただ、経営改善の要である柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は見通せず、来春までに改定する新総合特別事業計画では説得力のある再建案を示せるか不透明だ。現経営陣に対する退陣圧力も強まっており、改革推進に向けた社員の士気を維持するのすら危うい状況にある。

 提言では、発電や送配電など利益が見込める「経済事業」で国からの早期自立を目指す方針を掲げた。送配電事業の合理化で託送料金の原価を押し下げ、年間1500億円の収益を上げるとともに、柏崎刈羽の再稼働で火力発電の燃料コスト圧縮を目指す。

 広瀬直己社長は「福島の責任をしっかり果たすため柏崎刈羽の再稼働は大きな一つの要素だ」と述べ、再稼働を急ぐ考えを示す。

 ただ、10月に就任した新潟県の米山隆一知事は「県民の命と生活が守られない現状では再稼働は認められない」と真っ向から対立。再稼働の時期が見通せず、年間1000億円程度の収支改善効果も当面見込めなくなった。このため、事業計画見直しの前提となる収支計画の策定が難航しており、当初は年明け早々を予定していた改定時期は後ずれが避けられない。

 一方、経済産業省は福島第1原発の事故処理を行う「福島事業」で影響力を維持。2019年度に東電の経営状況を調査し、自立できるかを見極める。また、経営改革と合わせ若手への権限移譲を求めており、東電社内では「役員総退陣もありうる」(首脳)と自嘲的な声が漏れる。ただ、生半可な経営者では悲願の脱国有化が遠のいた東電社員の士気を保つのは難しく、新たな経営課題となりそうだ。(古川有希)