人工光の照射や気温、湿度などを完全に制御できるスプレッドの植物工場(同社提供)【拡大】
異常気象や農薬の過剰使用によって農産物のリスクが高まるなか、JXエネルギーが人工光型植物工場と抗酸化物質「グルタチオン」を組み合わせた野菜栽培の実証実験に乗り出した。植物工場事業運営会社、スプレッド(京都市)と岡山県農林水産総合センター生物科学研究所(RIBS、同県)と共同で、グルタチオンの効果的な投与方法を検証し、気候に左右されずに世界中のどこでも安心・安全に野菜が栽培できる技術の確立を目指す。
グルタチオンは3つのアミノ酸が結合した物質で、植物の光合成を活性化させる作用がある。投与する量や期間によって効果が変化するのが特長。グルタチオンを使った実験では、RIBSがジャガイモなどの露地栽培で収穫量を最大4割程度増加させることに成功している。
実証実験での3者の役割は、RIBSでレタスを栽培する際のグルタチオンの投与方法について複数のパターンを設定。その後、スプレッドが保有する照射や気温、湿度などを完全に制御できる植物工場で実際にグルタチオンを投与してレタスを栽培、生育結果のデータを取っていく。その後、JXがこれらの実験で得られた実証データの分析や経済性の評価を行う。