LIXIL、ベネッセ…日本でプロ経営者が定着しないワケ 相次ぐ降板劇を読み解く (2/3ページ)

2017.1.21 16:02

記者会見するベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長(当時)=2016年5月11日、東京都中央区
記者会見するベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長(当時)=2016年5月11日、東京都中央区【拡大】

  • テニスの錦織圭選手(右)と握手するLIXILの藤森義明社長兼CEO(当時)=2015年11月26日、東京都内
  • サーチファーム・ジャパンの武元康明会長

 また、日本には長寿企業が多い。環境の変化に敏感で人を大切にし、従業員の癖を見抜いた上でイノベーションする力に秀でている点が共通項だ。効率性を追求する欧米の会社からすれば「何でそんなところと取引を行っているのか」といった“三ちゃん経営(父ちゃん、母ちゃん、兄ちゃんの家族経営)”のような企業とも人間関係でつながり、顧客にしている点も長寿の秘訣(ひけつ)。こうした企業文化をないがしろにし、米国流経営を取り入れると齟齬をきたすのは必至だ。

 一方、武元氏は「グローバル化に乗り遅れてきた歴史は、結果として日本にとっていいことばかりだった」と話す。

 そのひとつが、産業革命に乗り遅れたこと。米国は株式市場から資金を調達し短期間で結果を求められるようになったのに対し、日本は銀行による融資が主流となった。その結果、「『返済に長い時間を要するかもしれないが、いいものを作ってください』といった信頼関係を構築し、終身雇用に代表される日本式の経営が誕生した」。

 それでも米国式経営を求める企業は少なくない。しかし、武元氏は安易な経営姿勢に警鐘を鳴らす。

 実際、米国では日本型経営を見習い、中長期的な観点を重視した経営手法を取り入れている事例が顕在化している。米国のビジネススクールも、エンロンの粉飾事件やリーマン・ショックを踏まえ「どういった人材を輩出したのだ」と強く批判されたのを受け、日本型経営の授業を強化している。これだけ注目されているのに、完全な周回遅れで株主至上主義を目指そうとする動きは収まらない。

「西洋追随型を『うまくいくはずがない』と理解している賢い経営者は少なくない」

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