
米国のフィラデルフィアで演説するトランプ大統領=26日(AP)【拡大】
また、市場関係者の多くは、今は口をつぐんでいるインフラ投資や1兆ドル規模の減税について、いずれ詳細なプランが示されると期待している。
タイトな雇用環境の下での財政拡張は、ドル高を促進する要因となる。あいまってインフレ期待が高まり、現実の物価上昇率も加速の気配をみせれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースも自ずと速まっていくだろう。そのことが、さらにドルを押し上げる要因となる。
足元で、この見方が多数派であり、為替相場でドルは1ドル=115円台で堅調となっている。しかし、メキシコ国境に壁を造る大統領令に署名し、「20%の新関税」案も出てきた。また、トランプ大統領は就任演説で「保護こそが繁栄と強さにつながる」と強調。自由貿易のもたらす恩恵には、一言も触れなかった。
もし、トランプ大統領が現在の「自由貿易」の基盤を根こそぎ破壊するとみている市場参加者が増加すれば、急激なドル安現象が起きる可能性がある。自由貿易の原則を「ちゃぶ台返し」することだけはしないでほしいと願うばかりである。
【プロフィル】田巻一彦
たまき・かずひこ ロイターニュースエディター。慶大卒。毎日新聞経済部を経てロイター副編集長、コラムニストからニュースエディター。57歳。東京都出身。