ソフトバンク、米携帯大手買収“再挑戦”も トランプ政権追い風「心開いて検討」

2016年4~12月期連結決算について説明するソフトバンクグループの孫正義社長=8日午後、東京都内のホテル
2016年4~12月期連結決算について説明するソフトバンクグループの孫正義社長=8日午後、東京都内のホテル【拡大】

  • 決算説明会でソフトバンクグループの事業の状況を話す孫正義社長=8日、東京都中央区(高橋寛次撮影)

 ソフトバンクグループの孫正義社長は8日の決算会見で、米国のオバマ政権時代に規制当局の判断で断念した米通信大手Tモバイルの買収に関して、「あらゆる再編について柔軟に考える」と述べ、トランプ政権下での“再挑戦”に含みを持たせた。一方でトランプ大統領の移民政策などについてはコメントせず、「さまざまな規制が緩和されれば、事業活動はやりやすくなる」と、改めて期待感を表明した。米政府との良好な関係に影響を与えたくない思惑をにじませた。

 「政治的な問題に、コメントは差し控える」。はっきりモノを言う孫社長だが、今回の会見ではトランプ政権の政策に関する質問にはノーコメントを貫いた。ただ、就任前のトランプ氏と会って約束した「5年間で米国への500億ドル(約6兆円)の投資と5万人の新規雇用」については言及。すでに8000人を確保したと強調し、「雇用は着実に増える」と話した。

 孫社長は2013年に米携帯大手スプリントを買収。Tモバイルも買収して両社を統合することで、米国での携帯事業を有利に運ぶ戦略だったが、米連邦通信委員会(FCC)がTモバイルの買収を認めなかった。当時のトム・ウィラー委員長が退任し、トランプ政権では規制緩和による市場競争を重視するアジット・パイ氏が後任に指名された。「共和党政権は一般的に通信規制緩和に積極的」(総務省幹部)であることも追い風だ。

 Tモバイルへの“再挑戦”について聞かれた孫社長は「スプリントが立ち直り、単独で自力で走るのも立派な選択肢の一つ」と強調。一方で、「合従連衡により、新しい企業価値が生まれることもある。あらゆる可能性について心を開いて検討する」と述べた。

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