アサヒビールとキリンビールは2日、東京都内でウイスキーの戦略説明会をそれぞれ開催した。ウイスキーを題材にしたテレビドラマや炭酸飲料と割ったハイボール人気を受けた原酒不足や前年の販売好調の反動減などで、2社とも2017年の売上高は前年を下回る見通しだと発表した。当面は主力ブランドの強化や若年層の開拓などに力を入れ、ウイスキー人気を維持し、さらなる事業拡大に備える。
アサヒ傘下のニッカウヰスキーは同日、主力ブランド「ブラックニッカ」の戦略説明会を開いた。今年はハイボールの飲食店向けの販売拡大や限定商品の投入で前年比6%増の340万ケース(1ケースは700ミリリットル×12本)の販売を目指す。
ただ、ウイスキー事業の売上高は原酒不足で商品を供給できないため、3%減の524億円を見込む。このため、若年層の開拓に注力する。昨年11月に限定発売した「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」は20代の購入率が約15%あるなど好評だったことから、3月に再発売する。
一方、キリンも同日、洋酒戦略説明会を開いた。昨年のウイスキーの売上高は若年層の飲用機会の拡大や「ジョニーウォーカー」や「ホワイトホース」などの輸入品を伸ばし、18.5%増の147億円だった。
今年は昨年の反動減や、国産の「富士山麓」の原酒不足を織り込み、0.7%減の146億円を計画している。キリンは当面、輸入品の販売に注力する。20年には輸入品を15年比2倍以上の売上高を目指す。その間に富士山麓の海外への輸出を増やす方針だ。