東芝株、上場廃止へ警戒感広がる 立ちはだかる3つのハードル (2/2ページ)

2017.4.6 21:56

東芝の本社ビル=東京都港区(本社チャーターヘリから、桐原正道撮影)
東芝の本社ビル=東京都港区(本社チャーターヘリから、桐原正道撮影)【拡大】

 東芝が東証に書類を提出した後の3月29日、経営危機の原因となった米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)は連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻。東芝の連結決算の対象からは外れた。これにより自主規制法人による再審査の範囲が絞られる可能性もある。ただ、東芝はなお多くの海外子会社を擁しており、海外子会社全体への監督が機能しているかが重要な論点になるとみられる。

 3つ目のハードルは、2年連続の債務超過懸念だ。

 東証の有価証券上場規程では、決算期末に2年連続で債務超過になると上場廃止となる。東芝は米原発事業の巨額損失を受けて29年3月期に債務超過に陥る見通しで、8月1日付で東証1部から2部に降格となるのが確実。稼ぎ頭の半導体事業を継承した新会社の株式の過半を29年度中に売却することで、2年連続の債務超過の回避を目指す。

 ただ、市場関係者の間では、東芝が米原発事業の巨額損失に関連して28年3月期決算を修正した場合、2年連続の債務超過となり、上場規程に抵触しかねないとの懸念も浮上している。

 東芝の株主数は昨年3月末時点で約43万7千人。経営危機の影響で入れ替わりがあったとしても大規模といえる。「上場廃止という究極的な事態は絶対に避けてほしい。そのような事態に至らないよう全力を挙げて努力してほしい」。日本証券業協会の稲野和利会長は3月の記者会見で東芝にこう注文した。

 3つのハードルのうち1つでもつまずけば上場廃止に直結してくるため、東芝を取り巻く環境は厳しい。

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