ICCが認定した賠償額は141億円。1000億~4000億円の支払いが避けられないとみられていたことからすると、わずかといっていい。経営陣がほっと胸をなで下ろしていることは想像に難くない。
同社には、数千億円の支払いに耐えるだけの財務余力はある。とはいえ、大型客船2隻の建造遅れで累計2540億円もの損失を出してきたうえ、当初1500億円を見込んでいたMRJの開発費も、5度にわたる納入延期の結果、4000億~5000億円まで膨らむ見通しだ。17年3月期の連結最終利益(見通し)は1000億円にすぎず、1000億円で決着したとしても赤字に陥る恐れがあった。
もっとも、素直には喜べない面もある。原発ビジネスの難しさが改めて浮き彫りとなったからだ。
東芝の原発子会社、米ウェスチングハウス・エレクトリックは、請け負った原発4基の工期が遅れて巨額の損失を抱え、米連邦破産法11条の申請にまで追い込まれた。損失拡大の背景には世界的な安全規制の強化があり、メーカーをますます不利な立場に追いやっている。
しかも、こうしたリスクは原発に限らない。重工メーカーでは、ライバルの川崎重工業も豪州における液化天然ガス(LNG)タンク建設をめぐるトラブルに直面している。