--どういった効果が表れているのか
「これまではアオコが増殖し魚が産卵する水草にまで光が射し込まないため、水草の成長を妨げ結果的に生物種の数が減っていた。しかし、アオコが減少したことで水草の成長を促す現象が顕在化した。ただ、今度は想定以上に水草が増えてしまったのでうまく間引く作業が必要になってきた」
◆市民参加型イベント実施
--緑豊かな拠点の整備にも力を入れている
「堀に隣接する『大手町ホトリア』の西側には、約3000平方メートルもの環境共生型広場『ホトリア広場』がある。皇居の二の丸雑木林を意識した在来種や地域種を主体に構成されており、コミュニティー活動の拠点として機能している。また、市民参加型イベントとして、どういった生物が生息しているのかを確認する『生き物モニタリング』を実施している。オフィスで働く人に呼びかけ昼休みを活用し観察会を行ったり、植栽業者にも手伝ってもらったりしている」
--今後の課題は
「このエリアでは、当社だけでなく他社も緑地整備に力を入れている。鳥や昆虫は1カ所にとどまらず周囲の森との連携がなければつながっていかないので、他の街区と協力しながら生物多様性が東京全域に広がっていく流れを形成することが必要だ」
「そのためにはモニタリング活動を強化することが不可欠となり、その仕組みをエリア全体で統一することが必要だ。現在はフォーマットに記入する方式を取り入れているが、他の街区でも利用できる共通アプリを実用化、今年から導入する考えだ」(伊藤俊祐)
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【プロフィル】村上孝憲
むらかみ・たかのり 京大院修士課程修了。1984年三菱地所入社。2010年から現職。58歳。福井県出身。