■生産量日本一「十勝小麦」 地域経済の起爆剤に
国内でも屈指の農業地帯である北海道十勝地方は、食料自給率が1100%を超え、国内の小麦生産量の約4分の1を占める。十勝・音更(おとふけ)町で小麦や豆類など雑穀類の卸売業を手掛ける山本忠信商店(ヤマチュウ)は、用途別ミックス粉の小ロット生産を可能にした製粉工場を来年度をめどに稼働させる。山本英明社長は「十勝の知名度を上げ、地域への愛着を持ってもらう」ために着々と事業を拡大している。
◆小ロットに対応
新工場は、中小規模のベーカリーやレストランなどから十勝産小麦を使った、食パン、ピザ、パスタなどに使える小ロットのミックス粉に対するニーズを実現させたものだ。農林水産省の「農商工連携事業」に今年2月に採択され、約4億円を投資する。
ヤマチュウは2011年、パンなどに使う小麦粉である強力粉の加工事業を開始、事業を拡大した。しかし、中小規模のベーカリーから、商品ラインアップが増え、あらかじめ小麦粉に粉乳、油脂、食塩などを配合した「ミックス粉」を作ってほしいとの要望が強まった。看板商品は職人が作るが、食パンや菓子パンなどの定番商品用に小ロットのミックス粉が必要という。ほかにも唐揚げ粉やホワイトソースなど小麦粉とブレンドして作る製品を求める声も増えた。
こうしたニーズを受け、山本社長は「開発・生産体制を強化することにした」。
これからも全国各地のベーカリーやレストランの、パンやパスタ、ピザ、菓子パンなど個別の商品に対応するために、加工度を高めたミックス粉の生産を拡充するほか、開発したミックス粉は雑穀類や豆類で培ったネットワークを通して販売され、グループ会社を通して国内外に販路を広げる方針だ。