一方、ここにきて有力視され始めているのが米投資ファンドのシルバーレイクと組む米半導体大手のブロードコムだ。2.2兆円程度を提示したとみられる同社は、買収後の設備投資や雇用維持にも一定の保証を与えているもようで、東芝幹部も「一番案がしっかり作られている」と評価する。同じ半導体メーカーでも、東芝メモリと事業が重ならず、独占禁止法の審査が短期間で済むほか、安全保障上の技術流出の懸念もない。
ただ、同社はM&A(企業の合併・買収)を繰り返すことで急成長してきただけに、度重なる買収に伴う「のれん代」の償却負担や、買収後の転売を危惧する声も聞かれる。
このほか、韓国同業のSKハイニックスも、米投資ファンドのベインキャピタルと組み、独禁法が障害とならないよう自社の出資比率を抑える案を提示。オリックスにも資金協力を仰ぐなどの動きをみせる。WDの出方を含め、混沌(こんとん)とした状況はぎりぎりまで続きそうだ。(井田通人)
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■東芝メモリの売却先候補
WD(米国)
長所
・四日市工場を共同運営
・設備投資を継続
短所
・独禁法審査が長期化
・東芝と対立で不信感
KKR(米国)
長所
・政府が主導し、産業革新機構などと連合
短所
・日米連合による条件提示に遅れ
・高配当を要求
ブロードコム(米国)
長所
・2兆円超を提示
短所
・WDが反発
・買収後の転売に懸念
SKハイニックス(韓国)
長所
・次世代メモリで共同開発
短所
・独禁法審査が長期化
鴻海精密工業(台湾)
長所
・2兆数千億円提示
・連合にビッグネーム参加
短所
・政府が技術流出懸念
・シャープ買収時に買収合意額を引き下げ