
東芝本社の建物に描かれたロゴ=東京・芝浦(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
東芝が進めている半導体子会社「東芝メモリ」(東京)の売却交渉は、合弁相手の米ウエスタン・デジタル(WD)と、資金力のある米半導体大手ブロードコムの2陣営に買い手が絞られ、事実上の一騎打ちとなったことが6日、分かった。WDは東芝と共同運営する三重県四日市市の工場に追加で新棟を建設する構想を表明し、買収案の大幅譲歩に続くアピールをした。28日の期限に向け交渉は大詰めを迎える。
WDはこの日、スティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)名の声明を公表。「研究開発や製造能力の向上のため着実な投資を継続する」とし、工場で働くWD側の技術者約700人の雇用を維持する方針を示した。新棟は現在稼働・建設中の6棟に増設する形で実現する。
WDは半導体事業の扱いを巡り東芝との対立が先鋭化していたが、ここにきて東芝メモリの主導権獲得を断念するなど態度を軟化させている。模索している産業革新機構や日本政策投資銀行との「日米連合」が実現するかが焦点となる。
ブロードコムは資金力に加え、WDと異なり独占禁止法上の問題を考慮する必要がない点も評価されている。ただ雇用や設備維持への考え方が不透明で、国策として半導体を保護したい経済産業省などの理解が得られるか疑問符がつく。