商工中金は9日、不正融資問題での再発防止策を盛り込んだ業務改善計画を、所管する経済産業省などに提出する。管理体制の強化や、全容解明に向けた調査の進め方などが柱。経営陣を含む責任の明確化は調査の終了を待って判断する。
金融危機などの際に中小企業を支える「危機対応融資」という公的制度を悪用しただけに政府は深刻に受け止めており、商工中金への検査体制を強化する方針。高木陽介経済産業副大臣は8日の参院財政金融委員会で「国の監督の在り方について検証する」と述べた。
商工中金は危機対応融資をめぐり、全店規模で審査書類を改竄(かいざん)し、条件を満たさない企業に不正に融資していた。経産省や財務省などが5月に業務改善命令を出し、6月9日までの計画提出を求めていた。商工中金の安達健祐社長が9日午後、経産省中小企業庁の宮本聡長官に報告書を手渡す。
弁護士で作る第三者委員会が4月に公表した調査結果では、不正には35支店、99人が関与し、融資額は約200億円に上った。ただ調査は危機対応融資全体の1割強にとどまっている。
改善命令では調査対象を全体に広げるよう求められたが、間に合わないため、調査の工程表を示す。商工中金は今後、第三者も交えて全件調査する。