東芝が対立解消の糸口が見いだせないまま、優先交渉先を決定したことで、WDがさらなる強硬策に出る懸念もある。東芝以外の関係先を相手に売却を阻止する訴訟を起こす懸念もあるとみられ、事態は一層緊迫した情勢となりつつある。
支払い停止条件
「係争がないことが投資をする上での大前提だ」。日米韓連合の関係者は東芝とWDの対立に先行きの不透明感が強まる中、問題を解決しない限り出資すべきではないとの声が連合内にあることも明かす。
このため、日米韓連合は東芝メモリの買収契約に、状況に応じて買収に伴う支払いを凍結できるといった「停止条件」を盛り込むことも検討している。訴訟次第で日米韓連合による買収が頓挫する恐れもある。
独禁法審査
日米韓連合自体に死角がないわけではない。連合の一角であるSKハイニックスは東芝メモリと同業のため、独禁法の審査が長期化しないで済むよう出資ではなく融資で資金を拠出する方向だ。ただ、今後の連合への関わり方次第では「韓国に半導体が集中することをよしとしない中国の独禁法審査が厳しくなる」(関係者)との声もある。
また、WDにとっても半導体の競合相手であるSKが連合に加わり、半導体工場の共同運営に関与することに反発する恐れもある。WDや関係者の思惑が複雑に絡み合い、東芝が思惑通りに売却手続きを進めることができるか予断を許さない状況が続く。(万福博之)
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■東芝メモリ売却完了までの3つのハードル
(1)WDの提訴
WDが売却中止を求めて米国の裁判所に提訴、売却停止の裁定が下る可能性も
(2)日米韓連合の停止条件
日米韓連合は買収に合意しても、状況に応じて支払いを凍結できる条件を盛り込むことを検討
(3)独占禁止法審査
同業のSKハイニックスは融資で連合に入る方向も、関わり方次第では独禁法の審査が通りにくくなる可能性も