
パナソニックサイクルテックが6月に発売したスポーツタイプの電動アシストサイクル「ジェッター」(右)と「ハリヤ」=5月29日、大阪市北区の電子会館(上野嘉之撮影)【拡大】
「今後、高齢者が増える一方、高齢者向けサービスを提供する世代の人数は減るので、自立できる高齢者を増やしていかないといけない。60歳でもスポーツ自転車乗るのが当たり前の時代とし、介護を受ける人を減らすために、電動で楽に乗りつつ健康になれるような商品ラインナップを増やしていきたい」
売却の危機乗り越え
とはいえ、パナソニックサイクルテックを取り巻く経営環境は厳しい。平成8年に初の電動アシスト自転車を発売し、現在は電動車が大部分を占めるが、売上高は平成24年3月期の311億円をピークに停滞し、29年3月期も288億円にとどまった。パナソニックグループ全体の連結売上高7兆3437億円に占める比率はわずか0・4%だ。
パナソニックは27年に自転車用タイヤを生産する子会社「パナソニックポリテクノロジー」(現パナレーサー)を投資ファンドに売却。業界関係者によると、サイクルテック社の売却も模索し、競合他社などに提案があったという。
そんな“斜陽事業”が、片山氏の社長就任で一転して成長を目指す。本当に売上高を3倍超の1000億円へと伸ばせるのか?
片山氏は、国内自転車市場は3000億円規模、そのうち電動アシスト車は600億円程度と説明した上で、「市場の成長率をにらみながら他社との競争に勝ち抜くという発想ではダメ。そんな風に考えて魅力がある市場ではないし、未来もない」と言い切る。