
コネクティッドソリューションズ(CNS)社」の樋口泰行社長=東京都内【拡大】
これを受け、ファスナー大手のYKKグループは同制度を活用して人事や経理など本社機能の一部を移転。東京の本社から富山県黒部市の拠点に約230人の社員が移った。
ただ、経済産業省によると、本社機能の移転のために制度を活用する計画を立てた企業は、今年5月末時点で16社にとどまる。帝国データバンクによると、28年に本社機能を首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に移した企業は310社で、首都圏から他道府県への転出は217社。6年連続の転入超過となった。
近畿大学経営学部の松本誠一准教授(経営学)は「税金の優遇措置を受けることよりも、東京での事業拡大や最前線の情報獲得などを優先する企業の方が多い。地方ならではの成長戦略を企業に提案する政府や自治体の取り組みがより求められる」と指摘している。