リスク避けるエリート
日本の企業が今伸び悩んでいる理由の一つに、失敗した人を認めない、失敗を許容しない文化があるからだと考えている。失敗から見えるものは少なくないにもかかわらず、失敗から学ぶ機会を放棄している。許容性のなさが日本企業の競争力を弱めている。
経営再建中の東芝の問題も同じだ。一度の失敗も許さない文化が根底にあるのだろう。東芝にかかわらず大企業、言い換えると古い企業の経営者や幹部は敷かれたレールの上で成績を残してきた。つまり失敗も挫折も知らないエリート集団で、難しい判断は避けてきた。終身雇用や年功序列といった日本的経営にもしがみついてきた。
一方、ベンチャーなど新しい企業の経営者と対談すると発想の違いに驚かされる。高度経済成長期は日本人の勤勉性が推進力となったが、少子高齢化に拍車がかかり、社会のあり方が変わるのに今までと同じで済むわけがない。ソフトバンクグループの孫正義氏も、ファーストリテイリングの柳井正氏も強烈なリーダーシップで会社を牽引(けんいん)してきた。しかし後継者問題はどうか。どうやら次の経営者を育て上げるのは大きな課題のようだ。