
起業から2年目で黒字化を実現するなど、活気あふれるニコ・ドライブの本社オフィス=川崎市高津区【拡大】
事故後、米国に約3年間留学したことが、起業のきっかけを生んだ。米国では多くの障害者が車を改造せず、比較的安価な後付けの器具を使って気軽に乗っていたが、日本は大がかりな改造が主流。高額な費用がかかるなど、障害者にとって自動車の所有や運転は敷居の高いものだった。そんな状況を打破したいという思いが強まったのだ。
「自分は運転が好き。障害者は運転ができることで、支えられるだけでなく、送り迎えなど誰かの役に立つこともできる」(神村社長)。補助装置を普及させ、障害者の自立と生活の幅を広げることに力を注ごうと心に誓った。
そんな折、運命的な出会いがあった。本田技研工業の元技術者で「ハンドコントロール」の技術を開発して製品化した荒木正文さん(2014年死去)だ。荒木さんは退職後、製品をインターネット上で販売していた。ただ、売れ行きは良くなかった。現状を知った神村社長は、荒木さんが抱えていた50個の在庫を買い取って販売。またたく間に完売してみせた。
荒木さんは神村社長の手腕を買い、一緒に起業を目指すことになった。ただ、その矢先に荒木さんはがんで亡くなってしまう。神村社長は荒木さんの遺志を継ぎ、ニコ・ドライブを設立した。
現在、社員は3人。東方秀樹さん(33)が開発と顧客管理、金子翔平さん(24)が顧客アドバイザーと広告のデザインを担う。ベンチャー企業が集う「かながわサイエンスパーク(KSP)」に入居し、インターネットなどを通じて全国に発送している。
売り上げは、1日1~3個程度。会社設立から2年目ですでに黒字を計上するなど事業は好調だ。起業時の理念「障害者の移動格差解消」に向け、事業拡大を目指している。(外崎晃彦)