
カルビーが中国・上海で7月に開いた「フルグラ」の試食会。現地メディアが多数詰めかけた(同社提供)【拡大】
「中国人は自国よりも日本など海外で販売された商品に信頼を置いている」。三菱総合研究所の劉瀟瀟(しょうしょう)研究員は中国人の消費者心理を分析する。近年は訪日旅行の機会が増えたことで、「日本の商品を実際に“体感”するようになり、帰国後も商品のリピーターとなりやすい」という。
こうした動きを商機とにらむ日本メーカーは、供給態勢を着々と整える。
子供用紙おむつ「メリーズ」が人気の花王もTモールと京東集団が運営する「京東全球購(JDワールドワイド)」に続き、昨年11月、別サイトに“3店目”を出店した。化粧品大手のコーセーも複数の中国サイトで人気のスキンケア商品「雪肌精」などを販売するほか、今年3月に群馬工場(群馬県伊勢崎市)の生産ラインを増強し、今後の需要増に対応する。
商品を配送する国際物流の主導権争いも本格化し始めた。ANAホールディングス(HD)は9月、越境通販の新たな配送拠点として「OCS東京スカイゲート」を稼働させる。グループの航空便と組み合わせ、「通関態勢が整えば数日で北京に届く」というスピード感が売りだ。日本通運はアリババ、ヤマトHDも京東とそれぞれ提携し、商品輸送を請け負う。
新流通ルート構築
新たな流通ルート構築の動きも出ている。台湾・香港で閲覧数トップを誇る訪日旅行情報サイト「ラーチーゴー」を運営するジーリーメディアグループはソフトバンクなどと組み、今秋に新モールの立ち上げを決め、7月から出店企業の募集を始めた。
ラーチーゴー人気を支える台湾出身ライターらの日本紹介記事に通販モールをリンクさせ、購買意欲を高める仕掛け。台湾で火が付いたブームが中国に波及するケースも少なくなく、関係者は「高い相乗効果が見込める」と話す。
劉氏は「中国人のニーズをどう捉えていくかが越境通販における成功の鍵を握る。彼らの心に響くような商品ストーリーを“見える化”する工夫が求められるほか、中国人の心理に詳しい現地パートナー企業との連携なども欠かせない」と指摘している。