東芝半導体「劇場型買収劇」 日米韓連合、最終局面で逆転 WD譲歩も時間切れ (2/3ページ)

東芝本社が入るビル=東京都港区
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 革新機構の投資能力は2兆円。最終案は、その4分の1を1つの案件に投じることになるためリスクは大きいが、日米韓連合に傾いた流れを引き寄せる起死回生の大逆転ホームランになり得る。「この案でいきましょう」。7人の委員全員が賛成し、提案内容はただちに東芝側へ伝えられた。

 もっとも、まだ足りないものがあった。最終案へのWDの同意は現場担当者のものだった。東芝が信用するよう、WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)のサインがほしい。革新機構はWD側に求めた。

 しかし返事は一向に来ない。「本当に来るんですか? エビデンス(証拠)がないと取締役会には諮れません」。東芝の綱川智社長に問いただされ、革新機構幹部は「翌朝まで待っていただきたい」と答えるのが精いっぱいだった。

 結局、米カリフォルニア州サンノゼのWD本社から書面が届いたのは、取締役会を数時間後に控えた20日午前4時前のことだった。

 だが、乾坤一擲(けんこんいってき)の案を東芝は採用しなかった。WDへの不信感もあるが、東芝関係者は「精査できなかった」と時間切れだったことを明かす。「20日の決定は極めて重い。本当にぎりぎりですよ」。主力取引銀行首脳は取締役会を控え、綱川社長にこう伝えていた。日米韓連合と日米連合の間で揺れ動き、結論を先送りしてきた東芝に銀行も我慢の限界だった。

 経営再建中の東芝に融資するのは東芝メモリの売却益をあてにするからだ。主力行は早期決着に向け、訴訟を回避できるWD陣営を推していたが「どちらでもいいから早く決めてくれ」(銀行幹部)とトーンは変わっていた。9月末の融資枠の更新を控え、銀行団の圧力は強かった。

政府筋から「待った」