
日立製作所の鉄道車両の生産拠点、ピストイア工場=17日、イタリア・ピストイア(共同)【拡大】
それでもライバルの背中は遠い。ドイツのシーメンスとフランスのアルストムが9月に鉄道車両事業の統合で基本合意。売上高153億ユーロ(約2兆円)の世界2位メーカーが誕生する。車両の製造、販売だけでは「利益率が低い」(業界関係者)ため、規模拡大によりコスト削減を狙う。
世界首位の中国中車の売上高は2241億元(約3兆8000億円)。中国政府の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を追い風に、海外市場に積極的に打って出る方針だ。
ライバルの動きに東原氏は「非常に脅威だ」と危機感を隠さない。日立は鉄道事業の売り上げ規模を20年代前半に1兆円に引き上げる目標を掲げている。16年度から倍増させる必要があり、東原氏は「グローバルな視点でM&Aやアライアンス(提携)を考えていく」と公言する。
候補としてはカナダのボンバルディアなどが想定されるが、「巨大メーカーとの協業は難しい」(日立関係者)。日立の鉄道事業は、英国での好調な受注を背景に当面は堅調に推移する見通しだが、世界市場で戦うための体制構築に残された時間は少ない。(ピストイア 共同)