無資格検査で日産、業績へ影響鮮明 ブランドにも傷 (1/2ページ)

記者会見で謝罪し、頭を下げる日産の西川広人社長兼最高経営責任者=8日午後、横浜市(佐藤徳昭撮影)
記者会見で謝罪し、頭を下げる日産の西川広人社長兼最高経営責任者=8日午後、横浜市(佐藤徳昭撮影)【拡大】

 日産自動車が平成30年3月期の通期業績予想を下方修正したことで、新車の無資格検査問題の業績への影響が顕在化した。約120万台のリコール(回収・無償修理)や約3週間の国内販売向け全車両の生産・出荷停止のダメージを受け止めきれなかった形だ。日産は通期の世界販売台数の見通しを維持しているが、ブランド力や販売現場での士気の低下につながる懸念もあり、思惑通りに進むかは不透明だ。

 この問題が起きてから3回目の会見に臨んだ西川広人社長。10月2日の初会見とは異なり、頭を深々と下げて謝罪の意思を明確にした。

 背景には問題の深刻化がある。特に西川氏自身が「是正した」と明言した後も無資格検査が発覚したことは出荷停止につながり、10月の軽自動車を除く登録車の販売台数は前年同月比で52.8%減となった。国内事業担当の星野朝子専務執行役員は会見で、出荷停止による納車遅れで「数百台の単位でキャンセルをいただいている」と明らかにした。

 一方、日産は583万台に設定している世界での販売台数見通しは変えない意向。西川氏は「販売会社と一体となって、自信を持ってお客に接する状態に早くたどりつきたい」と正常化を急ぎたい思いをにじませた。日産関係者は「国内販売は数万台減るだろう」とみているが、世界販売のうち、日本の占める割合は1割程度。他地域でカバーすれば、トータルの台数を維持できるという目算があるようだ。