となると、事故はゼロにならないのか。少なくとも運転支援技術では事故ゼロは難しいのか。電車のように完全自動運転にならない限り(それでも事故は発生するが…)、自動車事故のない世の中にはならないのか。
そのためにレクサスは、運転支援性能を高めながら、一方でドライバーに危険が迫っていることを伝えるよう様々な細工をしている。
走行車線キープ機能があるとはいえ、ハンドルから手を離せば危険をアナウンスするし、障害物の存在をメーター内に表示する。あるいはブザーや振動や、つまり五感のすべてに伝えることを怠らないのだ。リスクホメオスタシス理論への挑戦のように思った。
人間って、とことん怠惰だと思う。だから、車の進化に並行して、ドライバーの安全スキルを高める必要があるのだと思う。運転支援機能に大枚投じて事故を起こすのだったら、初心に立ち返って、ドライビングスクールでも通った方が有意義なのではないかと思うのは、僕が職業運転手だからだろうか。
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【木下隆之のクルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。
【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)
レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。