【木下隆之のクルマ三昧】EV、PHV、FCV…本命は? 次世代パワートレーン覇権の行方 (2/3ページ)

 ◆EVの長所と短所

 EVにもメリットとデメリットがある。走行中のCO2がゼロであることが、EVが善とする最大の理由だが、実は充電コンセントの先はCO2を撒き散らす発電所とも繋がっている。一気にEV需要が増せば、石油をもっと燃やさなければならないし、もしくはリスク覚悟で原発を稼働させることも考えないといけない。

 そもそも充電時間が長いことや航続距離が短いという問題もある。が、これには肯定的だ。充電ステーションはガソリンスタンドを設置するより簡易だから普及は早いだろう。電池の性能は日進月歩だ。トヨタはリチウムイオン電池よりも数倍の密度を誇る全固体電池の開発を急ぐと発表した。そうなれば、充電は早く航続距離も飛躍的にのびる。人間の叡智がそれを一つずつクリアしていくであろうことを前提にEV時代の到来を予測しているのである。

 ◆FCVの将来性は?

 では、EVの一つでもあるFCVの将来性は? 自ら発電しながら走行するFCVは、ガソリンの代わりに水素をタンクに詰め込む。EV同様、走行中は一切のCO2を排出しない。口をあてれば飲めるような真水を排水管からポタポタと滴らせるだけなのである。イメージ的にも実際にも、環境性は優れている。

ホンダのFCV「クラリティ・フューエルセル」

ホンダのFCV「クラリティ・フューエルセル」

 ただ、その水素はどこで補充するのか。水素ステーションが必要なのである。しかも水素を生成するのにはCO2発生は避けられない。電気同様、元を手繰ればCO2発生はゼロではない。そう、EVもFCVも地球の救世主ではなく、しばらくは茨の道を歩まなければならないのだ。

トヨタのFCV「ミライ」

トヨタのFCV「ミライ」

レンジエクステンダーやPHVが橋渡し