NEM流出ショック

(下) 誤解招いた国の“お墨付き” (3/5ページ)

 これに拍車をかけたのが中国当局の規制強化だ。昨年9月、企業や個人が独自の仮想通貨を発行する行為を、経済秩序を混乱させる「違法な金融活動」として禁止。今年1月には中国人民銀行(中央銀行)が仮想通貨の取引自体や関連サービスを禁じるよう見解を示した。

 中国国内の主な交換所は閉鎖され、中国人投資家は公然と仮想通貨取引ができなくなったが、仮想通貨に詳しい大和総研研究員の矢作大祐は「抜け道が存在する」と語る。そこで使われているのが「Tether(テザー)」という仮想通貨だ。

 テザーは交換所ではなく、ネットの掲示板などで売りたい人が値段を提示し、欲しい人が申し込む相対取引で交換されているケースが多く監視が難しい。知名度の低さも助けとなり、中国人投資家は当局の目をかいくぐって人民元をテザーに換え、テザーをさらに他の仮想通貨に換えることで、今もさまざまな仮想通貨の売買を継続。その際、日本の交換所も使用しているとみられている。

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