地域資源を生かす

ベンチャー相次ぎ誕生、北海道十勝 地方創生の成功例として政府も注目 (2/3ページ)

 岡崎氏の背中を押したのが、十勝の稼ぐ力を創り出す「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」。地域の金融機関、自治体、シンクタンク、メディアなどが野村総合研究所の協力を得て15年から始めた。岡崎氏はTIP1期生だ。

 「革新は同じムラ社会からは生まれない」との考えから、異質な発想を持つ革新者(火種)と、十勝に根を張って起業へのモチベーションを強く持つ若者(火の玉人材)を掛け合わせるとともに、とんがった若者同士も対話による刺激を得て稼ぐ力を喚起する。帯広信用金庫など地域金融機関がプロデューサーとして主体的に動き、帯広市など十勝19市町村がバックアップする態勢も整えた。

 タイニーハウス成功

 岡崎氏の火種となったのは「養鶏業から村丸ごと振興」を成し遂げたコッコファーム(熊本県菊池市)の松岡義博会長。「地元を巻き込んで成功したと聞いて、やってみたい気持ちに火が付いた」と言い、TIPの同期でタイニーハウスの設計者でもある山本晃弘執行役員と二人三脚で奮闘する。

 起業に当たり重視したのは、地域商店とのコラボレーションによる「真の地域振興。既存店舗が繁栄するための起爆剤になること」。地元の本別町商工会青年部に所属していたつながりを生かし、料理は飲食店から運んでもらうほか、シーツのクリーニングやガス供給などで地域とのコラボが進んでいるという。

 初年度は10組ほどの利用にとどまったが、手応えは感じており「2年目は3、4倍に増やす。タイニーハウスをもう1台作りたい」と意気込む。まずは十勝でビジネスモデルを確立し、全国展開も視野に入れる。「同じスタイルを取れる田舎は全国にある。各地の商工会青年部も地域を盛り上げたいメンバーばかりなので宿泊施設を持っていないところに声をかけていきたい」と前を向く。

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